本書は「走力を最大限発揮するための科学的に正しい体調最適化方法」をテーマに、株式会社快腸走 代表取締役社長の片岡治樹が、科学的知識と自身のランニング経験にもとづき、全388ページに渡って体系的にまとめ上げた一冊です。
胃腸トラブルを克服したい、フルマラソン・ウルトラマラソン・トレイルランニングのレースを走るランナー向けに書いています。
本書の基本となる考え方はとてもシンプルです。そもそも私たちがレースで結果を出すためには、走力に加えて安定した体調が必要です。これを数式で表すとこのように整理できます。
「ランニングパフォーマンス = 走力 ✕ 体調」
鍵となる体調はレース最中に至るまで時間軸に沿って次のように分解できます。
「体調 = 基礎体調 ✕ 直前体調 ✕ 体調維持率」
本書ではこの「ランニングパフォーマンスモデル」を軸に、走力を100%引き出すために体調をどう作り、どう維持し、どうレース本番まで運ぶのかを論理的に解説しています。
まずは簡単に私の自己紹介をさせてください。
私は2023年12月に初めてフルマラソンを走り、4時間10分で完走した市民ランナーです。そこから本格的にマラソンとトレイルランニングに取り組むようになり、試行錯誤を重ねる中で異例の成長スピードを経験しました。
初フルからわずか約1年後にサブスリー(2時間59分23秒/THE CHALLENGE RACE)、さらに約1年11ヶ月後にはハーフ80分切り(1時間19分35秒/千曲川ハーフマラソン)を達成することができました。普通のランナーなら数年かかる、あるいは到達すら難しい領域に、私は数十倍のスピードで辿り着くことができました。
ですが、そこまでの成長に至るまで私は胃腸トラブルに沢山悩まされてきました。インターバル走や距離走をする度に腹痛や下痢になり、あまり言いたくありませんがトレイルランニングのレース前には必ず浣腸をしなければいけない時期がありました。練習中に突然の強烈な便意に襲われ、冷や汗をかきながら急いで下山したことは幾度となくあります。
私のような“お腹ゆるゆる系ランナー”はこの世にたくさんいます。実際、ベルギーの市民ランナーを対象に行われた研究によれば、胃腸トラブルの経験者は約6割と報告されています。アメリカの100マイル(約160km)のトレイルランニングレースに至っては、出場者のほぼ全員がレース中に胃腸トラブルを経験しています。その他、日本有数のトレイルランニングレース「Mt.Fuji 100」で最も多く報告された傷病は、捻挫や挫傷を差し置いて胃腸トラブルです。
これをお読みになっているランナーの皆さんも、以下のような胃腸トラブルを経験したことはありませんか?
①レース中の補給に際して“胃がつっかえる感覚”があり補給を受け付けない。
②補給食が胃の中に溜まり“チャポチャポ”する。
③胃から何かが込み上げる感覚に襲われ、気持ちが悪くなり嘔吐する。
④大腸の中にガスが溜まっておならが沢山でたり、お腹が張って腹痛になる。
⑤突発的に大腸が“ギュルギュル”と締付ける強烈な便意と下痢が出る。
科学の世界では、このようなランニング中に起こる胃腸トラブルを「運動誘発性胃腸症候群(Exercise-Induced Gastrointestinal Syndrome、EIGS)」と定義し、日常生活中の胃腸の不調とは異なるメカニズムによるものとして専門的に研究がされています。
私は、当事者としてこの胃腸トラブルの解決策を探求してきました。日本語で出版されている書物はもちろん、世界中の医学や栄養学にまつわる英語論文を100本以上は読み解いてきました。それらの知識の中には、ヨーロッパのエリートトレイルランナーは知っているけれども、日本のランナーは未だ知らないものが多分に含まれています。
私はこういった知識を試行錯誤しながら自分の身体で実践することで、胃腸トラブルを克服することができました。掴み取った最高の体調をベースに練習を貪欲に積み重ねることで、上記のようにランナーとして異常な早さで成長することができたのだと確信しています。
一方で多くのランナーたちの中には、未だに誤った胃腸トラブル対策が出回っていることも見えてきました。例えば、レース中に胃薬や整腸剤や下痢止めを飲んでも根本的解決にはなりませんし、むしろ別の胃腸トラブルとして表面化するリスクがあります。
そして、妙高で出会ったランナー仲間たちが100km・100マイルのレースで胃腸トラブルに何度も苦しんでいるという事実を何度も見聞きしました。彼らが普段からたくさん努力していることを知っているだけに、悲しい気持ちになり私にできることを考えました。私は「正しい知識を提供し、胃腸トラブルに苦しむことなく皆それぞれの目標に向かって安心して頑張ってほしい」といつも思っています。その想いが、快腸走というブランド立ち上げと、本書を含む一連の取り組みにつながっています。
こうした背景から、私は「走力」という見える部分だけでなく、「体調」という見えない土台に徹底的に向き合うようになりました。その中で、ランニングパフォーマンスを要素分解して捉える独自モデルに行き着きました。走力は練習で伸びますが、体調が崩れればその走力はレースで発揮されません。逆に、体調を整えれば、同じ走力でもレースで明らかにパフォーマンスが上がります。
基礎体調・直前体調・体調維持率という三つの体調要素をどう高めていくか。その答えを体系的にまとめたのが本書です。
本書の第1の柱は、レースのない時期に積み上げる「基礎体調」です。
ここでは、大腸を主役とした“腸内環境の底上げ”を目的に、私が独自に整理した「三本の矢ローディング」という食事理論を解説しています。これは
①プロバイオティクス・ローディング
②プレバイオティクス・ローディング
③アンチオキシダント・ローディング
という三つの方向から大腸の腸内環境を改善し、走力の下支えとなる基礎体調を高い水準で維持する方法論です。腸内環境が整うことで、日常の回復力、練習の積み上がり、体調の安定性、そしてレース中の胃腸トラブル耐性が明らかに変わります。
第2の柱は、レース直前に行う「直前体調」です。
ここでは、せっかく積み上げてきた基礎体調を崩すことなく、レース当日に向けて体調を“合わせていく”方法を扱っています。特に重要なのは、いかに胃腸に負担をかけずにカーボ・ローディングを成功させるかという点です。多くのランナーが考えているように糖質量だけを増やせば良いわけではなく、摂るべき・摂るべきでない食材などを科学的メカニズムに基づいて解説し、万全な体調でレースのスタートラインに立つ方法をまとめています。
第3の柱は、レース中に体調を落とさないための「体調維持率」です。
ここでは体調維持率を以下の四つの要素に分解しています。「体調維持率 = 糖需給率 ✕ 小腸吸収率 ✕ 水分体温維持率 ✕ 胃腸トラブル回避率」
それぞれをどう高めれば胃腸トラブルなどで体調を崩さず最後まで走り切れるかを論理的に説明しています。
本書では多くのランナーが悩む胃腸トラブルについて、なぜランニング中に発生するのか、そのメカニズムを小腸血流・物理的刺激・心理的負担の観点から整理し、そのうえで本質的な対策を提示しています。
私の別の書籍「ランナーのための胃腸トラブル対策マニュアル」では“これさえ押さえていれば胃腸トラブルは減らせる”という内容に絞って胃腸トラブルの即効的対策を解説しました。そちらの書籍は、胃腸トラブル対策の入門書ということで具体的な対策方法や仕組みについては深く解説していませんでした。
本書では胃腸トラブルを「ランニングパフォーマンスモデル」全体の中に位置づけ直し、基礎体調・直前体調・体調維持率という三段階で改善するかを包括的にまとめています。長期的かつ根本的に胃腸トラブルを本気で改善したいというランナー向けに、胃腸の科学的メカニズムに遡って解説しています。ですが、そういった学術的な知識が無い一般ランナーでも理解していただけるように、「そもそも胃腸とは何ぞや」という平易な話から丁寧に解説しているのでご安心ください。
本書を読み終えれば、「体調が走力にどう影響するのか」「レース中の胃腸トラブルは何が原因だったのか」「胃腸トラブルを起こさない補給戦略は何か」「結局どんなエネルギージェルを選べばいいのか」などが、エビデンスベースで理解できるようになります。そのため、読者自身が状況に応じて応用できるようになるのが本書の最大の特徴です。
胃腸トラブルを克服し体調管理ができるようにれば、今の走力のまま失速せずに最後まで走れるようになります。走力の向上に向けて一生懸命練習に取り組んでいるランナーの皆さんが、本書をお読みいただくことで得られることは下記のとおりです。
■本書で得られること
・レース中の補給拒否・嘔吐・下痢など胃腸トラブルの原因を詳細に理解できる
・胃腸トラブルになりにくい身体の作り方を体系的に学べる
・プロでも知りたい科学的に正しいエネルギー補給戦略を学べる・意味のないサプリメントやジェルにお金を無駄遣いしなくてもすむ
・レース中に胃腸トラブルにならずに走力を100%発揮できるようになる
本書の目次は以下のとおりです。
■目次
序章 はじめに
・起業家 片岡治樹の経歴
・全社員300人中ただ1人 無類の健康オタク
・陸上未経験から約1年でサブスリー
・聖地「妙高」にトレラン移住
・胃腸トラブル克服経験を元に妙高で「快腸走」を起業
・ラン仲間に正しい胃腸トラブル対策を届けたい
第1章 ランナーのための胃腸の基礎知識
・胃腸とは何か?
・胃の役割
・小腸の役割
・大腸の役割
・胃腸を考える際にランナーに必要な視点
第2章 ランナーを蝕む“胃腸トラブル”という現実
・研究が示すランナーの胃腸トラブルの多さと深刻度
・本書で扱う「胃腸トラブル」の定義と代表的症状
・胃腸トラブルの3大要因
・胃腸トラブル最大の要因は「小腸血流不足」
・ランニングで腸に穴が空く「リーキーガット」
・レース中は小腸、平時は大腸が重要
第3章 ランニングはパフォーマンスを爆上げする最強の趣味
・ランニングのデメリットを削ぎ落とせ
・ランニングで鍛えられる3つの力
・ランニングはコスパ最強の趣味
第4章 ランニングパフォーマンスモデル
・ランニングパフォーマンス = 走力 × 体調
・走力 = VO2 Max × LT × ランニングエコノミー
・目標走力と現状走力のギャップを埋める
・トレイルランニングの走力とは
第5章 体調の科学
・体調とは「走力を余すことなく引き出すための健康度」
・走力を左右する体調の具体例
・レース中に変化する体調の具体例
・体調ピラミッド
第6章 平時の「基礎体調」を整える
・平時は「大腸」が主役
・基礎体調は大腸の腸内環境が8割
・腸内フローラのバランスが基礎体調を決定する
・最高の腸内環境の手に入れる「三本の矢ローディング」
・自炊こそが最高の栄養摂取方法である
・レース後に必須の腸内リカバリー
・基礎体調を壊す生活習慣
・基礎体調を観察する
第7章 レース前数日〜当日の「直前体調」を整える
・直前体調とは何か
・胃腸に負担をかけない必要十分な食事
・レース当日の食事
第8章 レース中は「体調維持率」を落とさない
・「体調維持率」という考え方
・エネルギーの入出バランスを最適化する「糖質需給率」
・レース中の「小腸吸収率」
・身体の機能停止に即繋がる「水分体温維持率」
・致命的な「胃腸トラブル回避率」
・レース中に摂っても意味のない栄養素終章 おわりに快腸走の挑戦参考資料
本書では「胃腸トラブルを克服して持てる走力を全部発揮して、目標達成をしたい全ランナー」に絶対にぴったりな知識を提供しています。少なくとも下記に当てはまるランナーほど、よりインパクトがあるかと考えてるのですが、いかがでしょうか。
■こんなランナーに届けたい
・レース前のトイレ(大)の行列に悩んでいる人
・胃腸トラブルによって本来の走力をレースで発揮できていない人
・100km超のレースで嘔吐・下痢に悩まされてきた人 など
また、本書は体調に関心のある市民ランナーの方々にご愛読いただいており、いただいたレビューを下記に記載させていただきます。
“「最高のコンディション」でレースを走りたい全ランナーへ。
サブエガランナーです。マラソン本番のトイレ問題、失速の正体、本当に必要な補給、練習時とレース前に必要な食事の違い。 解決は難しいな…どれが正しいのだろう…と悩んでいた「コンディション」にまつわる問題に、しっかりとしたエビデンスをもとに答えてくれます。 この内容を実践して、レースにおけるコンディション不安は一切なくなりました。 自分の力を出し切りたい方に特におすすめの一冊です。”
滝澤大地様 40代男性
以上、胃腸トラブルに苦しむランナーの皆さんが本書を手に取り、それぞれの目標に向かって安心して頑張ることができれば私は幸いです。
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¥3,300価格
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