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実はジェル無しでマラソンを走りました

  • 執筆者の写真: 治樹 片岡
    治樹 片岡
  • 3月12日
  • 読了時間: 8分

ランナーの皆さん、こんにちは。快腸走の片岡です。


先日、びわ湖マラソンを2時間47分03秒(3分56秒/kmペース)で走り、無事にPB更新できたというお話をさせていただきました。


前半ハーフ:1時間23分45秒

後半ハーフ:1時間23分34秒


と、一貫してほぼ同じペースで刻みながらネガティブスプリットでまとめあげながら全力を出し切った!私的にはあの時にあれ以上のパフォーマンスを出すことはできなかったと思うほどパーフェクト・ゲームだったと感じています。


実はこのレースには裏話があり、レース中一切エネルギージェルを摂りませんでした。

今回はそのことについて掘り下げてお話をしようと思います。


特に、

  • なぜジェルを摂らなかったのか

  • ジェルがいる/いらないはどうやって判断しているのか

が分かるように解説します。


まず始めに、私の前日から当日レース直前、レース中のエネルギー摂取について振り返るとこんな感じです。


【レース前日】

  • 昼食や夕食でいつもより糖質多めの食事

  • 摂取カロリーはいつもと同じくらい


【レース当日の朝】

  • レース5時間前の起床後にバナナ一本

  • レース30分前に試作品のエネルギージェルを一口(全部飲んでいない)


【レース中】

  • 全エイドのスポドリ


まず、レース当日の朝の摂取カロリーが極めて少ないことが特徴的だと思います。これでもレース前にお腹が空くことはありませんでした。


レース中も唯一の糖質源はエイドで提供されるスポーツドリンクのみです。しかも皆さんお分かりいただけると思うのですが、キロ4分切りのスピードで紙コップを掴んで飲んでも、摂取できるスポドリの量なんて一口分も満たないですよね。なのでレース中に摂っていた合計の糖質量は、およそ1gあるかどうかです。

結果、それでもレース中に空腹感は一切ありませんでした。


では、なぜ私はマラソン中にエネルギージェルを摂らなかったか。


それは、

  • 空腹感が出なければエネルギージェルはいらないと考えているから

  • エネルギージェルを摂ると胃腸トラブルのリスクが高まるから


この2点の理由があったからです。


まず、ジェルがいる/いらないの判断をなぜ空腹感に置いているのか。


生理学的な話になるのですが、人間の身体はエネルギー状態をかなり精密にモニタリングしています。特に血糖値やグリコーゲンの状態は脳の中枢神経系で常にチェックされており、その情報が統合された結果として現れる感覚の一つが「空腹感」です。


つまり、空腹感というのは単なる気分ではなく、身体のエネルギー状態に何らかの変化が起きている可能性を知らせるシグナルだと私は考えています。


そしてランニング中に空腹感が出てきた場合、そこから考えられる可能性は大きく分けて2つあります。


1つ目は、低血糖傾向による中枢疲労の可能性です。

長時間の運動では身体全体でグルコースが消費され、血糖値が低下し始めることがあります。脳はこの血糖の変化を常に監視しており、「このままだとエネルギーが不足するかもしれない」という状態になると、空腹感や疲労感といったシグナルを出します。「お腹が空いて頭がボーっとする」というのは中枢疲労の一種です。


2つ目は、実際に体内エネルギーが不足し始めている可能性です。

筋グリコーゲンや肝グリコーゲンが減少している中で血糖も低下し始めると、身体全体としてエネルギー供給が追いつかなくなりつつある状態になります。「このままだとエネルギーが不足するかもしれない」という警告を超えて、まさに今エネルギー補給が本当に必要な状態です。


ただし、この2つは走っている最中に感覚だけで完全に区別することはできません。


そこで私は、空腹感が出たときにまずエイドのスポーツドリンクを少量口に含むようにしています。いわば簡易的なテストのようなものです。


もしそれで空腹感がすっと消えるのであれば、それは実際のエネルギー不足ではなく、脳の中枢疲労だった可能性が高いと判断します。この場合はエネルギージェルを摂る必要はありません。


一方で、スポーツドリンクを口にしても空腹感が消えない場合は、本当にエネルギー不足が起き始めている可能性が高いと考え、そこで初めてエネルギージェルを摂取します。


つまり私にとってエネルギージェルは、最初から定期的に摂るものではなく、空腹感という身体からのサインを確認したうえで使う「必要なときの補給」という位置づけなのです。


要は、


「お腹が空かなきゃジェルはいらん!」


私はこう考えています。


今回のびわ湖マラソンでは、レース中にこの空腹感が一度も現れませんでした。つまり、エネルギー不足の可能性さえもなかった。だからこそ、結果としてエネルギージェルを摂る必要がなかったというわけです。


ここで、「でもマラソンでは20分ごとにジェルを摂れと言われているのでは?」と思われる方もいるかもしれません。


実際、ランニング界では「空腹感が出る前に定期的にジェルを摂るべき」という考え方が広く知られています。他のジェルメーカーやランニング系インフルエンサーもそれがさも当たり前かのように仰っていますね。


これは決して間違いではありません。特に長時間のレースや、糖質需要が大きい状況では、エネルギー不足が起きてから補給するのでは遅くなるケースがあるからです。


例えば運動時間が長く、登りで強度も高くなるトレイルランニングでは、身体の糖質需要が非常に大きくなります。この場合はエネルギー不足が起きる前に、ある程度計画的に糖質補給をしておいた方が安全です。

私自身もトレランレースではおおよその時間を決めてジェルを摂ることが多いです。とてもじゃないですけど、ジェル無しでトレランレースは走れないと経験的に分かっているからです。空腹感が来た時点で、それは単なる中枢疲労を超えて本当にエネルギー不足になっていることがほとんどです。


一方で、マラソンの場合は話が少し変わってきます。

運動時間はトレランに比べれば少ないですし、激しい登りもあるわけではないので運動強度もほぼ一定です。糖質需要はそこまで多くありません。フルマラソン20〜30回分のエネルギーに相当する体内に蓄積された脂質をメインに燃やされれば、体内に備えられている筋グリコーゲンや肝グリコーゲンなどの糖質で足ります。

ただし、ランナーの中にはフルマラソン中にどうしてもエネルギー切れになってしまうという方もいらっしゃいます。脂質よりも糖質をメインに使いながら走っていたり、そもそも運動時間が長かったり。そういう方は本当にジェルが必要なんだと思います。なのでマラソン中のジェルが完全に不要とは申し上げません。


また、なぜ私がマラソン中にジェルを摂ることを慎重になっているかというと、胃腸トラブルリスクを念頭に置いているからです。

基本的にジェルを摂れば摂るほど胃腸トラブルのリスクは高まります。ジェルを摂らなくてよいのであれば、摂らないに越したことはありません。


以上、だから積極的にジェルを摂ることはしない。できるだけジェルは摂らない。これが私の補給戦略です。今回は先日のマラソンでは実はジェルを摂らなかったという話でした。


ところで、ジェルメーカーの社長がこんな風にジェルは不要という論調で話して営業的に大丈夫なのか?と心配される方もいらっしゃるかもしれません。


しかし、私個人の信念として


“誠実に商売をさせていただきたい”

“お客様には、こちらの都合の悪いことでもちゃんと言う”


これを大事にしております。一人の商売人として、正々堂々と真っ直ぐにお客様に向き合うことを信条としております。なので、マラソンランナーのお客様が減ってしまうリスクを承知で、正直にお話させていただきました。


なにより、なぜ今回これを申し上げたのかというと、マラソン中にジェルを摂って胃腸トラブルになり、かえってパフォーマンスが落ちてしまうランナーが多いと感じているからです。フルマラソンでジェルを5個や7個も使って下痢になったと聞いた時は驚きました。

そもそも、摂っているジェルの中にマグネシウムが入っていたり、気持ち悪くなるほど甘かったり、ジェル側の問題もあるのですが。


一方で私の周りのラン仲間の何人かに、


「マラソン中にジェルを摂るのを1個に減らしてみたら」

「マラソン中にジェルを摂るのをやめてみたら」


と伝え、実践してもらったことがあります。結果、胃腸トラブルがなくなった上にPB更新することができました。

やはり、ジェルを摂ることでかえってパフォーマンスが落ちてしまっている本末転倒なケースは実は沢山あるんじゃないかと思っています。


それも、「ジェルがないとマラソン走れない」という雰囲気を作り出している現在のジェル市場に問題があるんじゃないかと見ています。


なので私は、


  • ジェルは必ずしも要るわけではない

  • ジェルを摂るにしても胃腸トラブルリスクの低いジェルを使って欲しい


こういうスタンスで行くと決めています。


あくまで私のミッションは、


「全ランナーの胃腸トラブルを解決する」


ですから。ランナーの皆様に無理にジェルを買わせて胃腸トラブルを起こさせてしまうのでは元も子もありません。


ということで、現在も引き続き胃腸トラブルが起きにくいエネルギージェルを開発中です。まだ詳しいことは公に言えないのですが、近いうちに皆様に発表できることがあります。


どうかそれまで何卒ご贔屓によろしくお願いします。


株式会社快腸走

代表取締役社長

片岡治樹



 
 
 

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